ゴルフでインバウンド|訪日外国人を日本のゴルフ場へ呼び込め!
最近、ゴルフ場にて外国人ゴルファー(特に中国ゴルファー)の姿をよく見かけるようになった。
つい先日はマイクロバス3台に便乗し、香川県の名門ゴルフコースを訪れる中国人の団体客を目の当たりにしたばかりだ。
ゴルフ場の支配人いわく、「年々平日は、外国のお客様が増えています。」とのこと。
また、中国人ゴルファーに対応するため、中国語を話せるキャディーも3名採用したというではないか!
そう、現在の日本においてゴルフ人口が減少するなか、インバウンド(訪日外国人旅行・訪日旅行)ゴルファーの取り込みは、ゴルフ場が生き残る、いや、勝ち残るためには必要不可欠な施策なのだ。
結論を先に述べれば、日本のゴルフ場でしか体験することのできない「外国人にとっての価値」を提案、実践、アピールすることで、ゴルフ業界だけではなく、GDPの2%に満たない日本の観光産業を活性化することができるのだ。
また、少子高齢化により疲弊する地方にとって、観光こそが唯一の生き残る道かも知れないのである。
日本のインバウンド(訪日外国人)の状況
4年も前倒しで目標達成/訪日客、初の年間2000万人突破 観光庁 :日本経済新聞 https://t.co/oskvRgswXp
— GolfBuzz|ゴルフバズ (@GolfbuzzJp) 2016年11月28日
まずは、現在の日本におけるインバウンドの現状をみていこう。
観光庁の発表によると、平成28年の訪日外国人観光客が10月30日時点で2,000万人を超えたとのこと。
この2,000万人という数字は、政府の掲げる目標を4年前倒して達成したことになる。
また、2030年には現在の倍の4,000万人という数値を目標に掲げている。
画像:訪日外国人旅行客の推移|読売新聞
また、日本政策投資銀行によると、2015年の国内のインバウンド消費総額は、対前年比71.5%増の3兆4,771億円となっており、経済波及効果を試算するとその額は約7.6兆円にまでなっているのだ。
1960年に池田内閣の下で行われた「所得倍増計画」ではないが、この状況は日本にとって、そして日本のゴルフ産業にとって追い風が吹いていることは間違いない。
2020年の東京オリンピックの正式競技、インバウンドというダブルのビッグウェーブに日本のゴルフ業界が乗らない手はない。
「観光立国」の指標は「GDPの9%」
世界の観光産業は、直接、間接、誘発的な影響も含めると、全世界のGDPの9%を占めている。
この、「GDPの9%」という数字こそ、国の経済が、観光によって支えられている基盤になっていることを示す数字とも言い換えられる。
ちなみに下記が主要な国の「観光収入とGDPに占める割合」だ。
- アメリカ 214,772 1.2%
- スペイン 67,608 4.8%
- フランス 66,064 2.3%
- イギリス 49,404 1.7%
- イタリア 46,190 2.2%
※観光収入は100万ドル
※世界銀行の2013年データをもとに作成
出典:デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
ちなみに、2013年の日本における「観光収入がGDPに占める割合」はなんと0.4%。
日本の観光産業の「儲け」の低さがきわだっていることが分かっていただけるはずだ。
逆にいえば、やることをしっかりやっていけば、まだまだ大幅な「伸びしろ」があるという事なのだ。
また、国連世界観光機関(UNWTO)によれば2030までに世界の観光客数は平均3.3%増加していき、現在の1.7倍、年間18億人に届くようになる。
つまり、世界的に見れば「観光」は、確実に成長することを約束された産業なのだ。
世界で盛り上がるゴルフツーリズム
ゴルフツーリズムとは、「ゴルフをすることを目的とした旅行」のことである。
近年、アジア各国においても、ゴルフのプレーをフックとした外国人観光客の獲得合戦が熾烈を極めている。
その要因の一つは、人口大国の中国やインドのゴルフ人口が、年率20~30%程度と爆発的に増加していることにある。
また、現在のところアジアにおけるゴルフツーリズム先進国はマレーシア、タイ、インド、ベトナム、中国である。
日本のゴルフ業界も、このビッグチャンスを手をこまねいて待っているわけではない。
日本におけるゴルフツーリズムの動きを一部紹介しよう。
- 北海道のゴルフ場を観光資源として外国人観光客の増加を図るべく「北海道ゴルフ観光協会」が発足
- 東京でも「日本ゴルフツーリズム推進協会」が立ち上がる
- 三重県がゴルフツーリズムに特化した観光誘客を宣言
- 今年7月、台湾からのゴルフ愛好者を四国に呼び込むため「四国ゴルフツアー」を実施
台湾からのゴルフ愛好者を四国に呼び込むため、四国へ送客実績のある旅行会社、定期的にゴルフコンペツアーを実施している旅行会社や、新たに送客を企画する旅行会社を招請し、ゴルフ場などを視察のうえ、新たなパッケージツアーを造成します。
引用:ゴルフでインバウンド|国土交通省 四国運輸局
インバウンドに本腰を入れ始めた日本のゴルフ場
冒頭でご紹介したゴルフ場のように、中国語に対応できるスタッフを準備するなど、今後、確実に増加する外国人ゴルファーへの対応を急ぐゴルフ場も増加している。
例えば、カヌチャベイリゾートのゴルフ場では、英語、中国語、韓国語の対応を実現している。
また、北海道のザ・ノースカントリーゴルフクラブは、ハワイ、タイ、香港、マレーシアなど複数のゴルフ場と提携することで、国を超えたゴルファーの交流を図っている。
今後ますますこの動きは加速していくはずだ。
なにより、モバイルインターネットの普及と、デバイス、アプリケーションの進化によって、それほどコストをかけることなく多言語対応は可能になってきている。
スマホに翻訳アプリをインストールすれば、ある程度の会話なら成立するのだ。
無料の翻訳ソフト「google翻訳」は恐ろしいほどのスピードで進化を続けている。
Googleが、提供中の翻訳サービス「Google翻訳」にニューラルネットワーク技術を応用、さらに精度が向上したと発表しました。対象は英語、日本語を含む全8か国語で、全世界の約3割が使う言語をカバーしたとのこと。Googleは最終的にはGoogle翻訳が対応する103言語すべてにこの技術を適用したいとしています。
引用:Google翻訳がニューラルネットワーク応用で「さらに進化」|Engadget 日本版
アジアナンバーワンのゴルフ大国日本
画像:鮎滝カントリークラブ
日本は約2,400ものゴルフ場を有するゴルフ大国なのだ。
詳しくは後述するが、日本のゴルフ場は外国人観光客が喜ぶ「温泉(お風呂)」、美味しい「食事」、クラブハウスでの「ショッピング」も楽しむことができる。
また、地方のゴルフ場の多くが、ゴルフのプレーを楽しみながら手つかずの「自然」を満喫することができる。
つまり、日本のゴルフ場は、アジアで盛り上がるゴルフブームの恩恵を享受できるポテンシャルを有しているのだ。
世界のゴルフ場の数
- アメリカ 15,372
- イギリス 2,825
- 日本 2,383
アジア諸国のゴルフ場の数
- 日本 2,383
- 中国 473
- 韓国 447
日本のゴルフ場のビジター外国人受け入れ状況
それではここで、国内のゴルフ場における外国人ゴルファーの受け入れ状況について見てみよう。
下記は、公益財団法人山梨総合研究所が、平成27年7月に山梨県内22のゴルフ場に対して行った、インバウンド・ゴルフツーリズムに関するアンケート調査の結果だ。
インバウンド観光のビジターの外国人を受け入れているか?
- 受け入れている 60%
- 受け入れていない 35%
- その他 15%
半数以上のゴルフ場が、外国人ゴルファーを受け入れているという結果だ。
ビジターの外国人の利用状況(平均人数/平日)
※「ビジターの受け入れ可」と回答したコース
- 0名 41.7%
- 1~4名が利用 33.3%
- 把握していない 8.3%
- その他 16.7%
把握していないって…。それって論外…。放漫経営…。
ビジターの外国人の利用で発生した問題
- 声が⼤きい(うるさい)
- ものを勝⼿に持ち去る
- トイレ・⾵呂の使⽤が悪い(雑である)
- スタート時間・休憩時間を守らない
多言語に対応したマナーブックやウェブサイトの作成が必要だと思われる。
https://zubagolf.com/column/golf-in-japan
JTBとGDOが連携!インバウンド向けゴルフサイト誕生
今年の11月にJTBとGDOが連携して誕生したインバウンド向けゴルフサイト「UNFORGETTABLE GOLF IN JAPAN」。
今後はこういったインバウンド向けゴルフメディアのニーズが高まっていくはずだ。
JTBは訪日客向けゴルフ旅行事業に本格参入する。ゴルフ総合サイト大手ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)と提携。同社が契約する全国約2千カ所のゴルフ場の利用、ゴルフクラブ貸し出しや送り迎えなどを一括で提供する。
引用:JTB、訪日客向けゴルフ旅行参入 大手サイトと提携|2016/11/1 日本経済新聞 電子版
UNFORGETTABLE GOLF IN JAPAN by JTB
JTBによる思い出に残る日本のゴルフ体験
GDO NEXT ~ゴルフの楽しい!をつぎつぎと~
インバウンド向け「日本でのゴルフの楽しみ方」動画をリリース
また、先にも触れたgoogle翻訳のようなサービスの登場で、個人レベルでも海外でのゴルフプレーが容易になるはずだ。
インバウンドによる外国人ゴルファーの取り込みには、ウェブサイトの言語化がマストになってくる。
なぜならば、多言語されておらず、外国人が読むことができないサイトは、どんなに素晴らしい情報が掲載されていたとしても意味をなさない。
つまり、ネットにない情報は「存在していない」と一緒なのである。
「観光立国」に必要な4つの条件
「カンブリア宮殿」出演で話題沸騰のインバウンド本の代表、元ゴールドマン・サックスアナリストのイギリス人、デービッド・アトキンソンの著書『新・観光立国論―イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」』によれば、「観光立国」として成功するための条件は4つだという。
また、日本のゴルフ場はインバウンドに必要な4つの条件がすべてそろっているのである。
下記が、「観光立国」として成功するための4つの条件である。
- ほどよい「気候」
- 手つかずの「自然」
- 歴史ある「文化」
- 美味しい「食事」
観光産業関係者、地方自治体職員、マーケターは必読の一冊!(5つ星のうち4.6の高評価)
もし僕が超リッチな外国人ゴルファーだったなら
マーケティングの本質は、顧客のニーズを把握するため相手の話を徹底的に聞くことにある。
それではここで、日本のゴルフ場にやってくる超リッチなゴルファーの目線で、日本のゴルフ場に求めるものを探っていこう。
ちなみに、2014年の訪日外国人観光客国別ランキングは1位が台湾、2位韓国、3位中国、4位香港、5位がアメリカだ。
例えば、金に糸目をつけない中国人ゴルファー4名がゴルフをしに日本へやってきたとして、日本のゴルフ場に求めることを考えていこう。
- トヨタの最高級ミニバン「ヴェルファイア ロイヤルラウンジ(1,500万円)」で送迎して欲しい
- 絶対に渋滞には巻き込まれたくない
- 朝食は高級フルーツと最高のコーヒーを味わいたい
- プレー前にドライビングレンジで日本の最新クラブを試打したい(自分に合えば購入)
- 練習用、前半用、後半用の日本製のグローブを購入したい
- 日本の職人によるハンドメイドパター「山田パター」を試打したい(合えば予約購入・お土産用としても購入)
- 他のプレーヤーがいない練習グリーンを使用したい
- 中国語に対応したコースガイドが欲しい
- クラブハウスはもちろん、コース内でもWiFiを使用したい
- 中国語が堪能な日本人の美しいキャディーが欲しい
- 茶店では中国人に人気のお菓子やスウィーツを食べたい
- 昼食は個室で寿司と日本酒を堪能したい
- ラウンド終了後は温泉とマッサージで癒されたい
- 風呂上りには、無添加のフレッシュジュースを飲みたい
- ゴルフ場に併設されたor帰り道のゴルフショップでゴルフ用用品、ゴルフ用の服を購入したい
- 次回もプレーしたくなるようなe-mailを定期的に送って欲しい
あなたは18歳以上ですか?
https://zubagolf.com/column/sexy-golf
少し考えてみただけでも、様々なニーズが出てくるはず。
すべての要望に答える事は難しいかもしれないが、今後増加するであろう外国人ゴルファーの客単価を上げ、リピーターを増やし、口コミで拡散してもらうための仕組みづくりが重要なのだ。
これは、外国人ゴルファーに限ったことではない。
また、ゴルフ以外の分野においても同様の施策を実行することが必要なのだ。
少なくとも下記の対応はマストだと考える。
- コースガイドの多言語化(有料)
- 外国語対応(スマホのgoogle翻訳アプリで可能)
- ウェブサイトの多言語化
- 銀聯カードでの決済対応
- メールアドレス収集
- 宿泊施設との協業
また、日本のゴルフ場の食事のレベルは高く、地方ではレベルの高い食事を提供するお店が都市部に比べ少ないため、ゴルファー以外の外国人観光客の受け入れにも対応しても良いかもしれない。
なぜならば、観光客の支出の45.3%が食事代と宿泊費なのだから。
数字に騙されるな!インバウンドの本質
先に述べたように、一見すれば、現在の日本のインバウンド施策は大成功しているかのように思われるかもしれない。
なぜならば、「訪日外国人客が予想をはるかに上回るペースで達成」などと「人数」を中心に報じられているからだ。
しかし、これは世界的に見ればごくまれで、本来は「観光収入」を第一の指標とするべきなのだから。
1人あたり1万円しか使わないときの経済効果と、1人あたり10万円を落とす場合の経済効果は、まったく違います。(中略)
観光立国が「効果」としてこだわらねばならないのは、「いかにしてお金を落とさせるか」ということなのです。
引用:新・観光立国論|デービッド・アトキンソン(著)
デービッド・アトキンソン 新・観光立国論 単行本
まとめ
今回は、今後盛り上がるであろう、いや、やり方次第では日本のゴルフ業界復活のきっかけになるであろう、インバウンドとゴルフ場についての考察を述べてきた。
世界中のゴルファーが、素晴らしい日本のゴルフ場を訪れ、ネットを活用した口コミで拡散し日本のゴルフ産業が再び盛り上がることを切に願ってやまない。
当サイトがその一助になればこれ以上の幸せはない。
愛する家族と「新・観光立国論」の著者デービッド・アトキンソンの母国、イギリスの偉大なるコメディアンMr.ビーンに捧ぐ。
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