ヘッド形状と重量を知ればドライバー選びが変わる
毎年の様に新製品が発表され、多くの関心を集めるのがドライバーだ。
今まで本サイトではシャフトの重要性を伝えてきたが、当然ヘッドも重要となる。
シャフトの特性もあるが、ヘッド形状による特性も当然ある。
もしかしたら、貴殿のミスショットの原因はヘッドにあるかも知れない。
ドライバーのヘッド形状と重量の関係性を理解すれば、貴殿に合ったドライバーヘッドを見つける事ができる。
ドライバー選びで悩んでいる方は必読の記事だ。
近年のドライバーヘッドの傾向
近年のドライバーヘッドは、以下の3要素を織り込んだ傾向と言える。
- 高初速
- 高弾道
- 低スピン
各メーカー、この要素をどれだけ高められるか研究を重ねている。
それでは各要素について紹介する。
反発係数ギリギリの初速設計
初速を上げる為に、各クラブメーカーは反発係数ギリギリにフェースを設計している。
しかし、当然ながら各社限界まで反発係数ギリギリでフェースを作っているので、初速が上がるという謳い文句は、もうあまり期待出来ないだろう。
重量配分で高弾道を実現
どの様に高弾道を実現しているか。
フェースの上部。いわゆるクラウン部と呼ばれる部分にカーボン素材を使用して軽量化を図り、軽量化した分の重量をソール側に配置する事で高弾道を実現している。
各社、この様な方法で高弾道ヘッドを作り上げている。
ほとんどのアマチュアゴルファーはスピン量が多い
最後は低スピンだ。
スピン量は、少なすぎると「ドロップ(ボールが落ちてしまう)」し、多すぎると「吹き上がる」。
ほとんどのアマチュアゴルファーはスピン量が多いと言われている。
では、どの様に低スピンを実現するのか。そのメカニズムについて紹介する。
ドライバー形状で異なる重心深度とは
ドライバーヘッドには、ディープ形状とシャロー形状の2つがある。
2つの形状の重心深度の特徴は以下の通りだ。
- ディープ形状=重心深度が浅い
- シャロー形状=重心深度が深い
では、この重心深度の深さで何が変わるのか。それは「重心位置の違い」だ。
- ディープ形状=重心深度が浅い=重心が低い
- シャロー形状=重心深度が深い=重心が高い
ディープ形状は低重心。対してシャロー形状は高重心となる。
重心の位置で変わるスピン量
では、重心の位置の高低でどの様な効果が生まれるのか。
クラブのギア効果でもあるが、フェースの当たる場所によるスピン量の傾向を見て頂きたい。
- フェースの上部に当たる=スピン量が減る
- フェースの下部に当たる=スピン量が増える
これを重心の位置が違う場合に考えると、以下の傾向となる。
- 重心が低い=スピン量が減りやすい
- 重心が高い=スピン量が増えやすい
ここでヘッド形状に戻るが、各ヘッド形状は以下の様なスピン量の傾向が出やすい。
- ディープ形状=低スピン(低重心)
- シャロー形状=高スピン(高重心)
スピン量を減らすのであれば、少しでも低重心のディープ形状の方が良いと言う事になるが、問題もある。
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ヘッド形状による芯の違い
重心深度の違いによるスピン量の増減について説明した。
スピン量を減らすのであれば、低重心のディープ形状を使用した方が良いが、問題もある。
それはヘッドの芯だ。
- ディープ形状=ヘッドの芯が狭い
- シャロー形状=ヘッドの芯が広い
いくら低重心のディープ形状のヘッドを使用したとしても、芯に当てなければボールは大きく曲がってしまう。
多少スピン量が増えたとしても、芯が広いシャロー形状の方が、芯を外した時のボールの曲がり幅は少ない。
これが慣性モーメントと呼ばれる働きだ。
慣性モーメントが大きいと芯を外した時のヘッドのブレが少なく済む。
・重心深度を浅くして、スピン量を減らす。しかし、芯が狭くなりミスヒット時の曲がり幅が大きいディープ形状。(慣性モーメントが少ない)
・重心深度を深くして、スピン量は増えるが、芯が広くなりミスヒット時の曲がり幅が少ないシャロー形状。(慣性モーメントが大きい)
これはゴルフクラブにおける、トレードオフの関係と言える。
何かを得ると、別の何かを失う。という意味だが、スピン量を減らすと芯が狭くなる。スピン量は増えるが芯は広い。
各メーカーは、この関係をどう両立させるか、毎年研究をして発表をしている。
ウェイトの位置で重心位置が変わる
このウェイト(鉛)の位置を変えるだけで重心位置は変化する。
・ウェイトを後ろ側に設定=シャローヘッドの特性に近くなる。
→芯が広くなり、慣性モーメントも大きくなり、重心の位置は高くなる。
・ウェイトを前側に設定=ディープヘッドの特性になる。
→芯が狭くなり、慣性モーメントも小さくなり、重心の位置は低くなる。
貴重!ロボットテストのスピン量データ
クラブフィッターたけちゃんは様々な資格も保有しているが、その中の1つに「ゴルフラボ公認エンジニア」がある。ゴルフラボが検証したデータを紹介しよう。
テーラーメイドM3のヘッドを使用して、ウェイトを一番後ろ・一番前にした時の比較を、ロボットテストで行った。
当然ながらロボットなのでヘッドスピードも当たる場所も一定だ。その上でスピン量にどれだけ差が生まれるかご覧頂きたい。
- ウェイトを後ろにした場合=3213RPM
- ウェイトを前にした場合=2552RPM
重心深度が浅くて、低重心の方がスピン量が減る事が分かる。
同じヘッドであっても、ウェイトの位置を変えるだけでここまでの変化が出る。
スピン量が多くて悩んでいる方は、ウェイトの位置を変えてみると球筋が変わるかもしれない。
※The Golf Lab(ゴルフラボ):The Golf Lab(ゴルフラボ)とはカナダのトロントにあるラボで、ツアー選手へのサポート、アマチュアへのレッスンなどを実施する世界でトップレベルのゴルフエンジニアリングチーム。
慣性モーメントが大きいと曲がらないのか
なぜ慣性モーメントが大きいと曲がらないのか。
ボールがヘッドに対して右、もしくは左に曲がればヘッドは当たった方向に捻れる。
慣性モーメントが大きいほど、この捻れが少なく済んで結果としてボールが曲がりにくくなる。
対して、慣性モーメントが小さい程、捻れやすく曲がり幅も大きくなる。
ボールの曲がりが大きくて悩んでいる方は、慣性モーメントの大きいモデルのドライバーを使うと改善されるかもしれない。
今一度、使っているドライバーを見直してみて、悩んでいる球筋はヘッドが原因で起こっている可能性もある。
自身のドライバーで出る傾向に合わせて、ヘッドを選ぶ事でスコアアップが望める。
ヘッドは空気抵抗の時代へ?
ここまで様々な視点からヘッド形状による球筋に与える影響について説明してきた。
クラブメーカーは、莫大な時間とお金を使ってヘッドの研究をしているが、いよいよ空力も考えたデザイニングになってきた。
ヘッドサイズは大型化し、ヘッドが受ける空気抵抗も無視できなくなってきたからだ。
これから空気抵抗を更に減らしたヘッドが誕生する日も、そう遠くないだろう。
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感覚も大事にしてヘッドを選ぶ
クラブフィッターたけちゃんは言う。
「クラブフィッテングは脳科学の世界まで来ている。構えてみて嫌だと思うヘッドは使わない方が良い。」
「自分が構えやすいと思うヘッド、人間が打つのでそういう感覚的な部分は大切にしてほしい。」
人間が打つので、いくら性能が良いとは言え、構えてみて違和感を感じるのであれば打つべきではないだろう。
ヘッド形状による特性を理解して、自分の出したい球筋に合ったヘッド形状のドライバーをいくつか構えてみる。
その中で自分の感覚に合うヘッドを試してみる。是非、ヘッド選びの参考にして頂ければ幸いだ。
【Q&A】クラブフィッターたけちゃんに聞く!
ヘッド重量で球筋は変わるの?
たけちゃん今回もよろぴくー。レディースとメンズのヘッド重量ってどれくらいなの?
じゃぁ、重量で球筋って変わるものなの?
当たり前だけど、同じスピードであれば重い方が絶対に飛ぶ。ただ重いヘッドを使う事でヘッドスピードが落ちる、振り遅れるから右へ飛んでしまうと言ったデメリットがある。
重ければ良いって訳じゃないんだね・・。
振れるのに軽いヘッドを使えば飛ばないし、逆に女性が重いヘッドを使えば飛ばない。
え!?じゃあさ、ヘッド重量って結構大事なんじゃん!
そうだぞ。ヘッド重量もスイングに大きな影響を与えるから、自分のドライバーが飛ばない、曲がるって方はヘッド重量を調べてみるのも良いだろうな。
一撃狙い!アベレージゴルファー向けの飛ぶヘッド
ワシは飛距離が欲しいんや!たけちゃん、僕ちんみたいなアベレージゴルファーが一撃飛距離を出す為のヘッドを教えて!
そうだな・・リアルロフトは11~12°の重心が浅いヘッドが一撃を狙えるだろうな。スピン量は1800~2000回転になれば一番飛ぶだろうな
打ち出し角はどれくらいが良いかな?
これにピッタリ合うヘッドを見つけるぞ!!
いいんだよ。そういう事にしといてくれや。
自分に合ったヘッドの選び方
たけちゃん、自分に合ったヘッドの選び方って何かある?
気をつけたいのは、ロフト・ヘッド重量に応じたシャフトの適切な長さは気をつけて欲しい。
ヘッド重量は大事って言ってたけど、何に影響するの?
長さに影響するな。例えば46インチの長さで作りたい人が、ヘッド重量200g以上はあまりにもヘッドが重すぎてしまう。
って事は、自分が作りたい長さに対して、ヘッド重量の関係ってスゴい大事なんだね!
んんーーー。結構難しいなぁ・・・僕ちんのヘッド重量は適正なのかな・・不安になってきた。
自分一人で悩んでいても解決しないぞ。こういう時はお近くの工房や、フィッターのいるお店で遠慮なく相談してほしい!
そっか!自分一人で悩んでいても解決しないもんね!たけちゃん、今回もサンキュー!メルシー!
【必見】ドライバーの選び方!おすすめヘッド形状と重量【ミス激減】
ドライバー選びに悩むゴルファー必見!ボールに直接エネルギーを伝えるヘッドの形状と適切な重量を動画で解説。
「慣性モーメント」と「重心深度」を知ればドライバーのミス激減!?
ドライバー選びの3つポイント【1.正しいロフト 2.ヘッド重量 3.適正な長さ】を分かりやすい動画で解説。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回はヘッド形状によるドライバー特性について紹介した。
一度で今回の記事を理解するのではなく、動画も合わせて繰り返し読んで頂く事で、必ず特性について理解できる。
自分の打球特性に合わないヘッドを使っていることが、スコアを縮められない要因の一つかもしれない。
まずは、自分のドライバーがどれくらいのスピン量なのか、打ち出し角がどれくらいなのか、計測することから始めてみるのもお勧めだ。
ヘッドの特性を理解する事は、自分が出したい球筋への大きな助けにもなる。
今回の記事が、貴殿のドライバー選びの一助になれば幸甚だ。
当記事のライター辻和也氏
記事を書いてると笑わせてくるたけちゃん。
大好きだ! pic.twitter.com/9NmG31ZcZf— つじ@ズバババ!Drums (@KT_tanuki) March 17, 2020
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