「軟らかい」「硬い」ドライバーシャフトの弊害と弾道
ドライバーシャフトを選ぶ際、長さ・重量は非常に大事だが、「硬さ」も大事なポイント。
なんとなくフレックスを選んでいる方も多いかもしれないが、合っていない硬さを選ぶのは百害あって一利なしだ。
右に高い球が出てOB、左に低い球が出る。実は貴殿のスイングに合っていないシャフトを使っている可能性もある。
今回は同一シャフトの「軟らかいシャフト」「硬いシャフト」を実際に試打し、それぞれに起こる弊害と弾道の違いを紹介する。
なんとなくシャフトのフレックスを選んでいる方は、今回の記事を読んでフレックス選定の見直しをオススメする
軟らかい・硬いシャフトの飛球方向
今回の話を進める前に、軟らかいシャフト・硬いシャフトを使用した場合の、基本的な飛球方向を紹介する。
例えば、ロボットに軟らかいシャフト・硬いシャフトを使用した場合、以下の様な飛球特性となる。
- 軟らかいシャフト=右へ高い球となる
- 硬いシャフト=左に低い球となる
毎回同じスイングをするロボットが打つと、上記の様な飛球特性が起こる。
しかし実際にスイングをするのは人間だ。人間が打つとどの様な影響が出るか、さらに細かく紹介していく。
軟らかいシャフトを使用する弊害
軟らかいシャフトは、しなり戻りが遅くロフトが寝て入る事でフェースが開き右に高い球となる。
つまり、ヘッドスピードが速いゴルファーが打てば、右へ高い球となりOBとなる。
これはロボットの時に紹介したが、軟らかいシャフトを使用した場合の正しい弾道であり「ナイススイング」と言える。
しかし、我々ゴルファーは「ナイスショット」をしたいのである。
ゴルファーが望むナイスショットをする為に、軟らかいシャフトを使用した場合の弊害を紹介する。
軟らかいシャフトはポテンシャルを落として打つ
では、軟らかいシャフトを使ってナイスショットをするにはどうすれば良いのか。
それは「ポテンシャルを落とす事」だ。
Youtube版ズバババゴルフ!でお馴染みの、ゆみちゃんを例にする。
ゆみちゃんは本来、ヘッドスピードは35~36M/Sだが、軟らかいシャフトを使用していた。
その為、ヘッドスピードを33M/Sくらいポテンシャルを落としてスイングをしていた。
せっかくヘッドスピードが出せるのに、クラブに合わせてヘッドスピードを落とすのは、実にもったいない。
自分のポテンシャルに合わせたクラブを使用するべきであり、これでは「クラブにスイングを合わせている」と言える。
ポテンシャルを発揮できない弊害と言えるだろう。
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後ろでさばくスイングになってしまう
先程は自分のヘッドスピード(ポテンシャル)を落としてしまう弊害だったが、自分のポテンシャルを落さずに、軟らかいシャフトを使う弊害は、「体重を後ろに残したスイング」になってしまう事だ。
人間はロボットと違い、シャフトのしなり戻りが遅いと判断すると、体を止めてしまう。
止めた分、後ろでさばくようなスイングになってしまい、チーピンが出る可能性がある。
硬いシャフトの弊害
硬いシャフトは軟らかいシャフトに比べて、しなり戻りが速い。
しなり戻りが速いと、インパクトを迎える時に構えた位置に対してフェースが速く戻り過ぎる事で、フェースが閉じて左へ打ち出されてしまう。
そして、硬いシャフトはロフトが立って入る傾向があり、球が上がりにくいという弊害がある。
つまり、左に低い球が出やすい傾向となる。
試打シャフトの振動数
フレックス | 5SR | 5S | 5X |
---|---|---|---|
振動数 | 239CPM | 247CPM | 266CPM |
重量 | 57g | 58g | 60g |
「軟らかいシャフト」「硬いシャフト」を使用した場合の弊害について説明してきたが、ここからは実際に試打を行う。
上記が今回使用するシャフトの振動数を計測した結果だ。
今回はUST MamiyaのATTAS JACKの50g台のシャフトを使用し、硬さだけ変えて使用する。
数値が大きい程しなり戻りが速く、硬いと感じる。
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軟らかいシャフト・硬いシャフトの試打データと弾道
フレックス | 5SR | 5S | 5X |
---|---|---|---|
ヘッドスピード | 44.3M/S | 43.4M/S | 43.0M/S |
打ち上げ角度 | 20.0° | 18.5° | 14.8° |
スピン量 | 5160RPM | 4550RPM | 3200RPM |
飛距離 | 205YDS | 212YDS | 243YDS |
お待たせした、上記が実際に試打をした計測結果を基に、軟らかいシャフト・硬いシャフトを使用したデータだ。
すべてのシャフトに対してヘッドスピードは落とさず、たけちゃんのありったけのポテンシャルを発揮して試打してもらった。
ATTAS JACK 5SR詳細データ
弾道としては右へ高い球となり、打ち上げ角度も3種類のシャフトの中で一番高い事が分かる。
たけちゃんの適正な打ち上げ角度は14~15°なので、20°という打ち上げ角度は上がり過ぎだ。
普段のたけちゃんのスピン量は3000RPM台と多いのだが、5160RPMは多すぎる。
飛距離も伸びない結果となったが、何故この様な結果となったか。
以下のデータを見て頂きたい。
- フェース角度:10.7°オープン
- ダイナミックロフト:29.9°
軟らかいシャフトを使うと、しなり戻りが遅くフェースが開いて入ってしまう。
フェース角度が10.7°オープンというデータが示す様に、フェースが開いて入り右へ飛ぶ結果となる。
開くだけでなくロフトも付いてしまい、ダイナミックロフトが29.9°と寝て入る事で、高く打ち出され距離も出ない結果となる。
たけちゃんの場合適正なダイナミックロフトは18°だが、29.9°がどれだけ寝て入っているのか、データでハッキリと分かるだろう。
ATTAS JACK 5S詳細データ
弾道としては5SR程ではないが、右へ高い球となり、打ち上げ角度も高くなっている。
打ち上げ角度も総スピン量も5SRに比べれば低減しているが、それでも適正な値には遠い。
- フェース角度:9.1°オープン
- ダイナミックロフト:28.4°
こちらのデータも5SRに比べれば低減しているが、適正値には遠く、合っているシャフトとは言えない。
ATTAS JACK 5X詳細データ
たけちゃんが普段使用しているシャフトより少し硬いが、60gのシャフトを使用しているたけちゃんにとっては、一番振りやすいシャフトとなった。
弾道も他の2本とは異なり右に打ち出されることなく、打ち上げ角度も適正な高さが出た。
スピン量もたけちゃんの適正な値となった。
- フェース角度:1.8°オープン
- ダイナミックロフト:22.1°
フェース角度が1.8°オープンで、しっかりフェースが戻ってくる事によって、フェースが開き過ぎずにインパクトを迎えている。
ダイナミックロフトは少し寝て入っているが、他のシャフトに比べれば適正値に最も近いデータとなった。
自分のポテンシャルに合ったシャフトを使用する事で、適正な値が出る事が証明された。
今回の試打ではATTAS JACK 5Xが、たけちゃんに合ったシャフトとなった。
自分に合ったシャフトは、インパクト時にフェースが構えた位置に戻るシャフトだ。
それはフェース角度のデータを見ても明らかと言える。
目指すのはナイスショットとナイススイングの連動
「ナイスショットとナイススイングの連動」
クラブフィッターたけちゃんは、クラブフィッティングの目的をそう話す。
ナイススイングをした時には、ナイスショットになる様に「クラブにスイングを合わせる」のではなく、「スイングに合ったクラブを探す」ことだ。
シャフトに合わせてスイングをするのではなく、自分のスイングに合わせたシャフトを選ぶ事が重要だ。
自分のポテンシャルを最大限活かせるシャフトを自分で見つけるのは難しい。悩む前にお近くの工房やショップでフィッティングを受けて欲しい。
必ずや、貴殿のポテンシャルを最大化出来るシャフトに巡り会えるはずだ!
【Q&A】クラブフィッターたけちゃんに聞く!
同じフレックスでもメーカーによって硬さが違う?
今回はシャフトの硬さについて特集したけど、メーカーによって同じフレックスSでも硬さって違うものなの?
その通りだぞ。シャフトメーカーによってフレックスSと表記されていても硬さは異なる。もっと言えば、ブランド毎であっても硬さは異なるぞ。
ほえ?それってどういう意味?僕ちんにも分かる様に説明して!
例えばダンロップのゼクシオシリーズのSは軟らかいが、スリクソンのSは硬い。同じメーカーであってもブランド毎で硬さが異なるんだ。
フレックスSだから硬い!って訳じゃないんだね。
フレックス表記は目安くらいに考えた方がいいな。フレックスSだからといって、ポチる癖がある人は要注意だ。
うっ・・・耳の痛い話だ・・・。
買う前には、ちゃんと試打をしてフィッティングを受けような。高い買い物だし、納得して購入した方が絶対いいぞ。
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アマチュアはオーバースペックorアンダースペック、どっちが多い?
ゴルフ仲間とオンライン飲み会でスペックの話で盛り上がったんだけど、アマチュアってオーバースペックorアンダースペック、どっちが多い?
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今までのフィッティングの経験から言うと、アイアンはオーバースペックが多いかなぁ。ドライバーは半々ってところかな。あと、重さがオーバー・アンダースペックというケースもあるな。
FWとかUTはどうなの?
たけちゃん、FW・UTは隙間産業って言ってたね。
そうだな、ここもしっかりフィッティングすればスコアアップが期待出来るぞ!しかし気になったんだが、お前ゴルフ仲間なんているか?友達なんていないだろ?
い・・いるもん・・・。
自分にとって適正なシャフトの見つけ方
ここまでデータを基に話をしてきたが、自分が振りやすいと思う感覚で選んだシャフトって、数値的に合ってる事が多い。人間の感覚ってすごいんだ。
合うシャフトが1本見つかれば、残りのクラブの適正データの概算値が出せるんだが、自分一人でそれを見つけるのは難しいからな。そこはフィッターに任せて欲しいぞ。
でもさー、僕ちんみたいな素人がフィッターの人に、このシャフトは振りやすい・振りにくいとか言って良いものなの?
んにゃ。自分の感覚は自分にしか分からないものだ。しっかりと自分の感覚・意見をフィッターにぶつけて、クラブに合わせない、自分に合ったクラブを探して欲しい。
信頼のできるフィッターの方に出会う為にも、積極的にフィッティング受けてみると良いんだね!たけちゃん、今回もサンキュー!またよろしくね!
おう!任せてくれぇい!
【動画】正しいドライバーシャフトの選び方
「硬すぎるシャフト」と「軟らかすぎるシャフト」を使用する弊害と、ミスショットの傾向を解説。適正な硬さ(振動数)のシャフトを選べば「ナイススイング」が「ナイスショット」になる!
まとめ
いかがだっただろうか。
今回はドライバーシャフトの「軟らかい」「硬い」の弊害と弾道について紹介した。
クラブフィッターたけちゃんは何度も「スイングに合ったシャフトを使うべき」と力説していた。
自分のポテンシャルを最大限引き出すシャフトの影響は計り知れない。
弾道の違いも非常に興味深い。
ヘッドスピードを落とさず3種類の硬さのシャフトを試打したが、ハッキリと弾道の違いが出た。
どうしても、我々アマチュアゴルファーはナイスショットが出ないと、自分のスイングが悪いと思いがちだ。
しかし、そもそもシャフトが合っていないのでは、ナイスショットは生まれない。
ナイススイングをした時には、ナイスショットになる様に「クラブにスイングを合わせる」のではなく、「スイングに合ったクラブを探す」ことだ。
シャフトに合わせてスイングをするのではなく、自分のスイングに合わせたシャフトを選ぶ事が重要だ。
ドライバーが思う様な結果にならない方は、スイング改造をする前にシャフトを見直してはいかがだろうか?
一人で考え込まずに、信頼のできる工房やショップなどで積極的にクラブフィッティングを受けてほしい。
今回の記事が、そのキッカケになれば幸いだ。
当記事のライター辻和也氏
何もないところ(それは言い過ぎ)から、やっと録れるところまでー。機材が無いなか、協力してくれたパパ!ホントありがとう! pic.twitter.com/oQZWnhvxCv
— つじ@ズバババ!Drums (@KT_tanuki) May 11, 2020
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